リリックビデオ「Black rain」制作話

ぜひこちらもご覧ください

10月16日に3ピースメタルバンドAkashAさんの新曲「Black rain」

こちらのリリックビデオを制作致しました。

こちらのリリックビデオ制作に関しては、ギターボーカルのDaisukeさんが

ブログにてまとめてくださっているのでぜひ合わせてご覧ください!

バンドにとってのリリックビデオ発注とは…という話が書かれております。

 

そんなわけで今回は制作者から見たリリックビデオ制作を書いていきます。

 


 

依頼を受けて

AkashAさんは以前ライブ撮影なんかをしていた際に出会いました。

当時「リリックビデオを作りたい!」と思っていたのですが

そんな時に楽曲提供頂いたのがAkashAさんの「Break away」

これが初めて作ったリリックビデオとなりました。

そこからなんと5年の歳月が経ち、また依頼頂きました。ありがたい限りです。

その時のオーダーとして下記のようなことが来ていました。

黒で重々しいイメージをメインに、パープルも煙とか雲とかのエフェクトに加えてほしい。今回のアートワークが黒、灰色、紫の3色をメインにしているため踏襲してほしい。アートワークの素材は自由に使って構いません!サビと他のアクセントの違いをはっきりと出していただけたら嬉しいです。

あとはお任せとのことでイメージを練り上げていきました。

 


 

リリックビデオのイメージづくり

リリックビデオの制作って2つパターンがあると思います。

  • 流れやノリを意識してイメージだけ考えてよーいドンで作り出すパターン
  • 全体の構成を先に考えてから作り出すパターン

1つめはサビとかイントロとか何かイメージがパッと出てたらそれでも全然いいと思います。自分もよくそうやって作ることありますし。

しかし今回は音源を聴き込んで先に全体イメージをまとめました。

キーワードメモ

※文字の雑さは仕様です。

ビジュアルや曲、歌詞などから連想するキーワードとして、

「黒い雨」「威圧感」「鉄塔」「流れる雲」「風」「枯れる」「ホラー」「SIREN」など書いていきます。この時に歌詞の英語部分も和訳しました。

そんな感じのキーワードから構成を作りました。

絵コンテといえるかどうか怪しい代物ですが自分がわかればOK。

このようにイメージを書きなぐっていきフルコーラスが完成です。

ちなみに一番最初にイメージしたのは、

1サビ頭「歳月は君に何をもたらした」のシーンは絶対に雲が早く流れるタイムラプス!

ということでした。

1:29

 


 

After Effectsで編集

そんなメモを元にAfter Effectsで具現化していきます。

今回の曲はブロック毎にわりと展開がはっきりしているため「Introから1A」とか「1サビ」とかのパート毎にコンポジション(編集プロジェクト内のブロックみたいなもの)を作っていきました。

実際の制作例としてたとえばこちらのイントロのパート。

0:00~0:06頃

こちらは雨に濡れた地面の画像素材に、雨の映像素材をのせ

照明と色調をいじって、バンドロゴなどの素材をElement 3Dで立体化させて動かしています。

ほかにも色々やってますが今回からより取り入れた手法は

『レイヤースタイル』

4:57頃

Photoshopではレイヤー効果として細かく効果を重ねることが容易ですが、After Effectsでもできるんですよね。

Photoshopですでに作ったスタイルをプリセット的にわかりやすくAEでも使えないか…?と思い、After Effects用のレイヤースタイル早見表を作ってみました。

こんな感じに1-1、1-2とかでそれぞれのレイヤースタイルを当て込みpsd化。

そして読み込み、目的のレイヤースタイルをコピペするだけ。これだけで複雑な見栄えのテキストが量産できて感動してました。なんでもっと早くからこれやらなかったんだ…

ちなみに下記のシーンは作っていて楽しかったところです。

1:01

同じ文字で跨って表現するところです。

「WORLD」と「WON'T」

「DO」と「YOU」とかですね。パズル感覚。

 


 

そして完成…

そんなこんなで完成したのがこちらのBlack rainということでした。

自分のリリックビデオは

ありふれたテンプレリリックビデオにしない(同じ演出で終始一貫しない)

というのを軸にしているため畳み掛ける展開になりがちです。

最近見たAdobeのイベントでもとあるトップクリエイター集団の代表の方が

「最近の若い子は3秒同じだと飽きてしまう。全体を考えずに次々作るからこそ大人が考えなかったことが生まれたりする。」という話をしていました。

まさに自分の動画の作り方もそうだし、その中でカラーやタッチで一貫性を持たせつつ、曲のイメージをより広げることが大事だと考えています。

また機会あれば色々な方のリリック作りたいですね。